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相続した実家の片付け(遺品整理)|捨てる前に確認すること

更新日:執筆:実家ノート編集部出典と作り方

30秒でわかる結論
  • 急いで捨てない。相続放棄を考えているなら、価値のある物を処分・売却・持ち出しすると放棄できなくなるおそれがあります(判断の期限は3か月、延ばすこともできます)。
  • 片付けの前に、遺言書・通帳・権利証・借入の書類などを探します。封のある遺言書は開けずに家庭裁判所へ。
  • 出てきた現金・預金・貴金属は相続人全員の財産。勝手に使わないようにします。
  • 業者に頼むなら、市区町村の許可(または委託)があるかを確認し、複数社から書面で見積もりを取ります。

探すもののチェックリストを見る

この記事の目次
  1. まず急がない:相続放棄の判断が先
  2. 片付けの前に探すもの(チェックリスト)
  3. 遺言書が出てきたら
  4. 出てきたお金や貴金属は遺産
  5. 片付けの進め方
  6. 家電・パソコン・粗大ごみの出し方
  7. 業者に頼むときの選び方
  8. スマホ・ネットの契約(デジタル遺品)
  9. 家財と税金の関係
  10. よくある質問

まず急がない:相続放棄の判断が先

亡くなった人に借金が多いときは、相続放棄を選ぶことがあります。相続放棄は、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述します。財産を調べても決められないときは、3か月以内に家庭裁判所に申し立てれば、期間を延ばしてもらえることがあります(民法915条)。

片付けで「相続した」とみなされることがある相続財産を処分すると、相続することを認めた(単純承認)とみなされ、相続放棄ができなくなります(民法921条)。価値のある家具・着物・貴金属を売ったり、まとめて持ち帰ったりするのは避けてください。傷みを防ぐための手入れなど「保存」のための行為は、処分にあたりません。

着古した服など、経済的な価値がほとんどない物の形見分けは処分にあたらないとした裁判例がある一方、着物や指輪などをまとめて持ち帰って処分とされた例もあります。線引きは物の価値や量で決まるので、相続放棄を考えている間は、迷う物には手を付けないのが安全です。

なお、相続放棄をしても、放棄の時に実家を現に占有している人は、次に引き継ぐ人に引き渡すまで、自分の財産と同じ注意で保存する義務があります(民法940条)。

片付けの前に探すもの(チェックリスト)

見つけたものにチェックを入れてください。チェックはこの端末に保存されます。印刷して家族で分担することもできます。

遺言書が出てきたら

  • 封がしてあれば開けない:自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)は、家庭裁判所で「検認」の手続きをします。封のある遺言書を家庭裁判所の外で開けると、5万円以下の過料の対象です(民法1004条・1005条)。検認は遺言が有効かどうかを決める手続きではありません。
  • 法務局に預けてあるかも調べる:2020年7月から、自筆証書遺言を法務局に預けられるようになりました。預けてあった遺言書は検認が不要で、相続人は全国どの法務局でも、預けてあるかどうかの証明書を請求できます。
  • 公正証書遺言は公証役場で検索:1989年以降に作られた公正証書遺言は、全国どの公証役場でも、相続人が無料で有無を調べられます。

出てきたお金や貴金属は遺産

片付けで出てきた現金・預金通帳・貴金属・骨董品は、相続人が複数いれば全員の共有の財産です(民法898条)。見つけた人が勝手に使うと、ほかの相続人とのトラブルになりますし、遺産分割の前に使った分も遺産に含めて計算されることがあります(民法906条の2)。見つけた物は、写真を撮るなどして記録し、相続人全員に知らせてから保管しましょう。

葬儀費用などで急いでお金が必要なときは、遺産分割の前でも、亡くなった人の預金の一部を相続人が単独で引き出せる制度(預貯金の仮払い)があります(民法909条の2)。

片付けの進め方

片付けの順番。1 重要書類と貴重品を探す、2 残す物と分ける物を家族で決める、3 売れる物を査定・買取、4 家電4品目をリサイクル、5 粗大ごみ・一般ごみを出す、6 残りを業者に頼む。相続放棄を考えている間は、売却や価値のある物の持ち帰りを含め、価値のある物を処分しない
図:片付けは「探す→決める→手放す」の順番で
  1. 重要書類と貴重品を探す:上のチェックリストを使います。
  2. 残す物・分ける物を家族で決める:写真や手紙、形見分けする物を決めます。一人で決めて捨てると、後で取り返しがつきません。
  3. 売れる物を売る:骨董・貴金属・ブランド品などは、古物商の許可がある業者に査定を頼めます。業者が家を訪ねてきて買い取る場合(訪問購入)は、8日間のクーリング・オフ期間中は品物を渡さなくてよいルールがあります。ただし自分から「家で売りたい」と業者を呼んだ場合や、家具・大型家電・本などは対象外です。相続放棄を考えている間は売らないでください。
  4. 家電4品目をリサイクルに出す:エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は粗大ごみに出せません。
  5. 粗大ごみ・一般ごみを出す:市区町村のルールに従います。
  6. 残りを業者に頼む:量が多い、遠方で通えない場合は、遺品整理業者などに頼みます。

家電・パソコン・粗大ごみの出し方

  • 家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機):家電リサイクル法の対象で、粗大ごみには出せません。リサイクル料金と収集運搬料金がかかります。買い替えの店や、市区町村が案内する方法で出すほか、郵便局でリサイクル券を買って指定の引取場所に自分で持ち込むこともできます(持ち込めば収集運搬料金はかかりません)。料金はメーカーや大きさで違います。
  • パソコン:メーカーが回収します。「PCリサイクルマーク」が付いていれば追加の料金はかかりません。中のデータは消してから出しましょう。
  • 粗大ごみ:多くの市区町村で、事前に申し込み、手数料を払ってシールを貼り、決められた日に出します。大きさの基準や料金は市区町村ごとに違います。

業者に頼むときの選び方

国民生活センターには、遺品整理サービスについて「見積もりの約2倍を請求された」「頼んでいない遺品まで処分された」「高いキャンセル料を求められた」といった相談が寄せられています。不用品回収では「広告に7,000円〜とあったのに25万円請求された」という例もあります。

  • 許可を確認する:家庭から出るごみを運べるのは、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か、市区町村から委託された業者だけです(廃棄物処理法)。産業廃棄物の許可や古物商の許可だけでは運べません(環境省)。
  • 複数社から書面で見積もりを取る:内訳、追加料金がかかる条件、キャンセル料を確認します。
  • 残す物をはっきり伝え、作業に立ち会う:アルバムなどを処分された例があります。
  • その場で決めない:見積もりで家に来てもらい、その場で契約した場合は訪問販売にあたり、契約書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができます。困ったら消費者ホットライン(188)へ。

スマホ・ネットの契約(デジタル遺品)

国民生活センターには、スマホのロックが解除できずネット銀行の口座が分からない、IDやパスワードが分からず定額サービスを止められない、といった相談が寄せられています。片付けのときは、スマホやパソコンを捨てずに残し、通帳の引き落とし記録やクレジットカードの明細、届いている郵便物・メールから、契約しているサービスを探しましょう。

家財と税金の関係

  • 相続税:家具や家電などの家財も相続財産です。1個(1組)5万円以下の家庭用の物は、まとめて評価できます。骨董品や高価な貴金属・宝飾品は1点ずつ評価します(財産評価基本通達128・135)。相続税がかかりそうな家は、高価な物を処分する前に税理士に相談してください。
  • 空き家の3,000万円控除:相続した家を売るときのこの控除は、相続から売るまでの間に、家を事業・貸付・居住に使っていないことが条件です。相続人が住んだり人に貸したりすると使えなくなります。控除は最大3,000万円で、家と土地を相続した人が3人以上なら1人2,000万円です。片付けで家財を置いておくことなどが気になる場合は、税務署か税理士に確認してください。

仏壇や位牌、お墓は、相続財産とは別に、祭祀を引き継ぐ人が受け継ぎます(民法897条)。

よくある質問

親が亡くなったら、すぐに実家を片付けないといけませんか?

法律上の期限はありません。急いで決めるべきなのは、借金なども含めて相続するかどうか(相続放棄の判断、3か月以内)です。ただし、賃貸住宅なら家賃がかかり続けるので、大家さんと明け渡しの時期を相談しましょう(相続放棄を考えている場合は、解約や明け渡しが「処分」とされるおそれがあるので、先に弁護士・司法書士に相談してください)。持ち家を売る予定なら、空き家の3,000万円控除の期限(相続した年の3年後の年末、かつ現行法では2027年12月31日まで)も意識してください。

相続放棄するつもりですが、形見を持ち帰ってもよいですか?

着古した服や写真など、経済的な価値がほとんどない物を少し持ち帰る程度なら、問題にならないとした裁判例があります。一方、着物や指輪などをまとめて持ち帰り、「財産の処分」とされた例もあります。処分とされると相続放棄ができなくなるおそれがあるので、価値のありそうな物は持ち出さず、迷ったら弁護士・司法書士に相談してください。

遺品整理の業者は、どこまでやってくれますか?

仕分け・運び出し・清掃・買取などを行う会社が多いですが、内容は会社ごとに違います。家庭から出るごみを運べるのは、市区町村の一般廃棄物処理業の許可を持つ業者か、市区町村から委託を受けた業者だけです。見積もりの時に、どの作業をどこまでするか、ごみの処分を誰がするかを書面で確認してください。

業者と契約した後でも、取り消せますか?

見積もりのために家に来てもらい、その場で契約した場合は訪問販売にあたり、契約書面を受け取ってから8日以内ならクーリング・オフができます(国民生活センター)。困ったときは消費者ホットライン(188)に相談してください。

仏壇やお墓は誰が引き継ぎますか?

仏壇・位牌などの祭具やお墓は、預貯金や家などの相続財産とは別に、祖先の祭祀を主宰する人が引き継ぎます(民法897条)。誰が引き継ぐかは、亡くなった人の指定、地域の慣習などで決まり、決まらなければ家庭裁判所が定めます。

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出典と、この記事の作り方

実家ノート編集部が、下の公的資料を読んで作成しました。法令の内容は 2026年10月3日 に確認しています。制度は改正されることがあるため、申告や手続きの前に、必ず出典元と税務署・専門家にご確認ください。