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相続した家の共有持分|売る・貸す・解消するには誰の同意がいるか

更新日:執筆:実家ノート編集部出典と作り方

30秒でわかる結論
  • 家全体を売る・取り壊すには、共有者全員の同意が必要です。
  • 大規模な修繕や、更新のない短期の賃貸(建物は3年以内の定期借家など)は、持分の過半数(ちょうど半分は足りない)で決められます。普通の借家契約で貸すには全員の同意が必要です。雨漏り修理や草刈りなどは1人でできます。
  • 自分の持分だけなら、ほかの共有者の同意なしに売れます。ただし価格は低くなりやすいです。
  • 居場所が分からない共有者がいても、2023年4月からは裁判所の手続きで先に進められるようになりました(その人の持分を取得・売却する手続きは、遺産分割前の家だと相続開始から10年たってから)。

何ができるか判定する

この記事の目次
  1. 相続で家が共有になるとき
  2. 持分と賛否から、何ができるか判定する
  3. 共有の家で「誰の同意がいるか」
  4. 自分の持分だけを売る
  5. 共有を解消する方法
  6. 連絡がつかない共有者がいるとき
  7. よくある質問

相続で家が共有になるとき

  • 遺産分割の前:相続人が複数いると、遺産分割が終わるまで家は相続人全員の共有です。持分は法定相続分(遺言で指定があればその割合)です。相続登記は、相続を知った日から3年以内の義務です(正当な理由なく怠ると10万円以下の過料)。
  • 遺産分割で共有にした:話し合いで「兄弟で2分の1ずつ」などと決めて登記した場合です。持分は登記事項証明書で確認できます。

共有のままだと、共有者が亡くなるたびに持分がその相続人(配偶者や子ども)に相続され、共有者が増えていきます。売るか、1人が受け継ぐかを早めに決めるのが基本です。兄弟で分けるシミュレーターで、売って分ける場合と1人が受け継ぐ場合の手取りを比べられます。

持分と賛否から、何ができるか判定する

共有者ごとの持分と、その人の考え(賛成・反対・返事がない・居場所が分からない)を入れると、2023年4月施行の改正民法にそって、売却・取り壊し・賃貸・修繕などが今できるか、どの手続きが必要かを判定します。入力した内容はこの端末から送信されません。

共有の家で「誰の同意がいるか」

全員の同意

家全体を売る(処分)、取り壊す・増築するなど形や使い道を大きく変えること(民法251条1項)、普通の借家契約で貸す・3年を超えて貸すこと。

持分の過半数

外壁や屋上防水などの大規模修繕、砂利道の舗装といった軽い変更、更新のない短期の賃貸(建物3年以内の定期借家や一時使用、土地5年以内)、管理する人を決めるなど(民法252条)。人数ではなく持分の合計で数え、ちょうど半分では足りません。

1人でできる

雨漏りの修理、草刈り、壊れた所の応急の修理など、家の状態を保つこと(保存行為、民法252条5項)。自分の持分を売ることも1人でできます。

普通の借家契約は更新があり、決めた期間で終わる保証がないため、過半数では決められません。過半数で決めたことでも、共有者の間の決定にもとづいて家を使っている共有者に特別の影響がある場合は、その人の承諾が必要です(民法252条3項)。また、自分の持分を超えて家を使っている共有者は、ほかの共有者に使用の対価を払う義務があります(民法249条2項)。

自分の持分だけを売る

自分の持分は、ほかの共有者の同意なしに売れると解されています。ただし、持分だけを買っても家を自由に使えないため、買い手は限られ、価格は家全体の価格×持分より大幅に低くなりやすいです。

  1. まずほかの共有者に買ってもらえないか聞く:家族の中で持分が集まれば、家全体を自由に扱えるようになります。
  2. 持分を扱う買取業者に聞く:持分だけを買い取る業者があります。複数社で比べます。
  3. 家族への影響を考える:持分を買った業者が、ほかの共有者に持分の買い取りや共有の解消を求めることがあります。事前に家族に伝えておくとトラブルを避けやすくなります。

共有を解消する方法

  • 全員で家全体を売って代金を分ける:一般にいちばん高く売れる方法です。全員の同意が必要です。
  • 1人が持分を買い取る:住み続けたい人がいる場合などに。ほかの共有者にお金を払います。
  • 共有物分割を裁判所に求める:話し合いで決まらなければ、裁判所が、土地を分ける方法や、1人が取得してほかの共有者にお金を払う方法で分けます。どちらもできないとき、または分けると価格が大きく下がるおそれがあるときは競売になります(民法256条・258条)。競売では価格が下がりやすいので、最後の手段です。
  • 遺産分割がまだなら:共有物分割ではなく、家庭裁判所の遺産分割(調停・審判)で決めます(民法258条の2)。もともと親がほかの人と共有していた家で、親の持分を相続した場合は、相続開始から10年たつと共有物分割の手続きで一緒に解消できることがあります。

売るときは、共有者それぞれが自分の持分の分について税金の計算をします。亡くなった人が一人で住んでいた1981年5月31日以前の家なら、共有者それぞれが空き家の3,000万円控除を使える場合があります(家と土地を相続した人が3人以上なら1人2,000万円まで)。相続から売るまでに共有者が住んだり貸したりしていると使えません。期限(相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日、現行法では2027年12月31日まで)や売却代金1億円以下などの条件もあります。売却の税金

連絡がつかない共有者がいるとき

2023年4月から、次の手続きが使えるようになりました。どれも裁判所の決定が必要です。

  • 居場所が分からない共有者:裁判所の決定で、その人を除いて取り壊しなどの変更(民法251条2項)や管理(252条2項)を決められます。その人の持分を取得したり(262条の2)、ほかの共有者全員が持分を売ることを条件に、その人の持分も売る権限をもらったり(262条の3)することもできます。この場合は、裁判所が決めた額のお金を供託します。遺産分割前の家は、相続開始から10年たたないと持分の取得・売却の手続きは使えません。
  • 居場所は分かるが返事がない共有者:期間を決めて賛否を聞いても答えない場合、裁判所の決定で、その人を除いた持分の過半数で管理のことを決められます(252条2項)。ただし、売る・取り壊すなど全員の同意がいることや、持分の取得には使えません。

まず戸籍の附票などで住所を調べ、手紙で連絡を試みます。それでも分からない場合は、弁護士・司法書士に相談してください。

よくある質問

兄弟の1人が反対していても、家を売れますか?

家全体を売るには共有者全員の同意が必要なので、反対する人がいる間は売れません。説得する、反対している人の持分を買い取る(または自分の持分を買ってもらう)、自分の持分だけを売る、裁判所に共有の解消(共有物分割)を求める、といった方法があります。遺産分割がまだなら、家庭裁判所の遺産分割調停で話し合います。

共有者の1人がずっと住んでいます。家賃を請求できますか?

共有者は、持分に応じて家全体を使う権利があります。ただし、自分の持分を超えて使っている共有者は、別に合意がなければ、ほかの共有者に使用の対価を払う義務があります(民法249条2項)。ただし、亡くなった人と同居していた相続人には遺産分割までは無償で住める合意があったとされることがあり、配偶者には配偶者短期居住権もあるため、請求できない場合があります。金額は話し合いで決め、まとまらなければ弁護士に相談してください。

持分の割合は、どうやって分かりますか?

遺産分割が終わって登記されていれば、登記事項証明書の「持分」で分かります。遺産分割がまだの場合は、法定相続分(遺言で相続分が指定されていればその割合)が持分になります(民法898条2項)。

共有のままにしておくと、何が困りますか?

売る・取り壊すなどに全員の同意が必要なうえ、共有者が亡くなるとその相続人に持分が相続され、共有者がどんどん増えます。連絡が取りにくくなるほど、手放すのが難しくなります。早めに整理することをおすすめします。

次にやること

出典と、この記事の作り方

実家ノート編集部が、下の公的資料を読んで作成しました。法令の内容は 2026年10月3日 に確認しています。制度は改正されることがあるため、申告や手続きの前に、必ず出典元と税務署・専門家にご確認ください。